ラブコメやロマンスをほぼ見ないというジャンル的な好みも相まって、おじさまだらけの映画ばかり紹介していくことになるかと思います。恋愛ものは数作、大好きな映画がありますので、こちらのコラムでも紹介いたします。❥
薄っぺらいということではなく、良い意味でシンプルな作品が好きです。見終わった後、全てを理解してエンドロールでどっぷりと余韻に浸れる、そんな作品が素敵だなと思います。
私、多くを語らぬ男の友情系にめちゃくちゃ弱いのですが、特に韓国の方は一度心を開き信頼するようになった相手のことはとことん信頼し、全く疑う心を持たない傾向があるとしばしば言われます。
そんな韓国で作られた作品ですから、信頼というものが非常に大きな要素になってくるんですね。心から慕っていた人に裏切られる展開には心がえぐられ、逆に初めは単なるビジネス関係であった二人が徐々に心から互いを信頼し合うようになる物語に涙が止まらなくなります。
この点に関しては、監督など撮る側の技量は言わずもがなですが、演者さん達の演技が非常に素晴らしいと思います。突然当たり前のことを言い始めましたが、本当に、韓国映画を観るとその表現力の高さに脱帽します。微妙な表情や仕草がすごく上手いのです。
台詞がないシーンであるにも関わらず、心情が手に取るように分かる演技。勿論カメラワークであったり、音楽であったり、そういった要素にも大いに助けられているものの、あの表情で語る演技は本当に素晴らしいです。まさに韓国映画の見所といえると思います。
というわけで、早速最初の作品を紹介致します!
⇒공작 『工作』
2018年に公開され、私の中の韓国映画ナンバーワンを彗星の如くかっさらっていったのが、この『工作』。深くて、重みがあり、でもどこか希望の持てる、とても素敵な作品です。是非、ご覧ください。(完)
と終わることはできないので紹介させていただきますが、とても気に入っている作品だけに、いざ言葉にしようとすると難しく…まずは概要をざっくりと。
本作は、ベールに包まれた北朝鮮国内の核の実態を暴くため、ファン・ジョンミン演じるパク・ソギョンが韓国の国家情報院のスパイ”フククムソン”として北朝鮮入りし、取引していくというストーリー。
彼は北の上層部に接近し信頼を得ることに成功しますが、韓国の大統領選挙を目前にして、南北首脳の間で取引が行われていることに気付き…。愛する母国のために全てを懸けスパイとなった彼の、孤独な葛藤の物語です。こんなドラマチックなストーリー、なんと実話なんです。
スパイ映画と聞くと、スピード感とスリル溢れる頭脳戦、というイメージが湧きますが、単なる頭脳戦やアクションではありません。もっと深いところに渦巻く心の葛藤を描いた作品なのです。
そして胸にじんわりとくるラスト。それまでストーリー全体に張りつめていた緊張感がすっと解けて、自然と涙が零れてしまいます。
主演のファン・ジョンミンさん、本当に素敵な俳優さんです。国際市場で逢いましょう、コクソン、ベテラン、アシュラなど、大ヒット映画に欠かせない方ですね。
ちょっと荒っぽいけど、なんだか信じてついていきたくなるような、そんなキャラクターがとても似合う。本作でも、スパイという非現実的な役どころながら、これだけ観る側が感情移入出来てしまうのは彼の演技力によるものに他ならないでしょう。
そしてなんと本作、今夏日本でも上映が決まりました…!期間中に3回は観に行きたい…
タイミングが良かったので、最初の紹介作品はこちらにしました♥今は動画視聴サイトなどでは公開されていませんが、是非劇場に観に行ってみてくださいね。
ちなみに日本公開時の邦題は、『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』です。なんだかどうしてもサブタイトルをつけないといけない何かがあるんでしょうか。海外の映画を日本に輸入すると、サブタイトルがつくことが多くないですか?不思議…
というわけで、記念すべき一作目は、『工作』でした。
次回もお楽しみに♥
Aimi
Ksalonメンバー。大学時代に独学で韓国語を学び始め、以降コリアンカルチャーにどっぷりハマる。現在、韓国の映画、Hiphop、ファッションに夢中。都内OLの傍ら、東京都観光通訳ボランティアとしても活動している。韓国映画のクオリティーの高さに度肝を抜かれ、苦手だった映画にどハマり。好きな映画のジャンルは社会派、犯罪アクション。
Instagram:@aimin_93